街で撮った動画に、知らない人が写り込んでいる。イベントの記録映像に、同意を取っていない人がいる。こうしたとき、顔にモザイクをかけるかどうかで迷います。判断のしかたと、実際の作業について説明します。

「写っている」と「特定できる」は違う

日本には肖像権を直接定めた法律の条文はありません。裁判の積み重ねによって、人格権の一つとして認められてきた権利です。そのため「何が違反か」は一律には決まらず、状況によって判断されます。

一般に考慮されるのは、おおよそ次のような点です。

背景に小さく写った通行人と、画面中央に大きく写った人物では、扱いが変わります。

なお、これは一般的な整理です。実際に問題が起きている場合や、判断に迷う場合は、弁護士など専門家に相談してください。

迷ったら隠す

判断が難しいときの実務的な指針は単純です。迷ったら隠してください。

隠して困ることはほとんどありません。逆に、公開してから問題になった場合、取り下げても既に見られた事実は消えません。転載されていればなおさらです。

特に次の場合は、隠すことを強くおすすめします。

顔以外にも特定につながるものがある

顔だけ隠せば安全、とは限りません。次のものも個人の特定につながります。

背景から場所が絞られる仕組みは背景の映り込みから場所が分かるで詳しく扱っています。

忍者モザイクでは、性器・顔・車のナンバー・表札・ブランドロゴを選んで隠せます。一覧にないものは「郵便受け」「社員証」のように日本語で書いて指定でき、4つまで同時に指定できます。

文字が写っているものは特に強く隠してください。理由はモザイクは復元できる?で説明しています。

自分ではなく通りすがりの人が写っている場合の考え方は、通行人が写り込んだ動画は公開してよいのかにまとめています。

動画で顔を隠す作業が大変な理由

静止画なら、隠したい場所を1回囲めば終わりです。動画はそうはいきません。

30フレーム毎秒の映像なら、1分で1800コマあります。人は歩き、カメラは動き、対象は近づいたり遠ざかったりします。手作業で追いかける場合は、数コマごとに位置を打ち直し、その間を補間することになります。

しかもこの作業は、1コマでも失敗すると意味を失います。一瞬でも素通ししたコマがあれば、そこで顔は見えてしまいます。動画は止められるからです。

忍者モザイクはこの追跡をAIが行います。対象がコマごとに動いても追いかけるので、位置を手で指定する必要はありません。

隠し方はぼかしが向くことが多い

通行人の映り込みのように「映像の雰囲気を壊したくない」場合は、ぼかしが向いています。輪郭が柔らかく残るので、画面の中で浮きません。

一方、確実さを優先する場面ではピクセレートの「強」かスタンプを選んでください。それぞれの違いはピクセレート・ぼかし・スタンプの違いと使い分けにまとめています。

最後は自分の目で確認する

AIの検出は完璧ではありません。特に次の場面は取りこぼしが起こりえます。

書き出したファイルは、公開する前に必ず通しで確認してください。倍速で流すのではなく、等速で最後まで見ることをおすすめします。問題が起きるのは、たいてい一瞬のコマです。

具体的な確認の手順は公開前に隠し漏れを見つける手順にまとめています。

まとめ