街で撮った動画に、通行人が写っている。この状態で公開してよいのか、という疑問はよく出ます。

なお、この記事は一般的な情報の整理です。法的な助言ではありません。具体的な判断が必要な場合は、必ず弁護士など専門家に相談してください。

肖像権という条文はない

まず前提として、日本の法律に「肖像権」という名前の条文はありません

それでも権利として扱われるのは、裁判の積み重ねによって「みだりに容ぼうを撮影・公表されない利益」が認められてきたからです。憲法や民法の解釈を通じて、人格的な利益として保護されています。

条文がないということは、「この条件を満たせば安全」という一覧も無いということです。日本でモザイクが求められる理由で扱った構造と同じで、判断は事後に、個別になされます。

判断の軸になっているもの

裁判例では、撮影や公表が社会生活上受け忍ぶべき限度を超えているかどうかが問われてきました。その判断で見られるのは、おおむね次のような点です。

問題になりにくい側 問題になりやすい側
誰か分かるか 小さい、後ろ姿、ぼやけている 顔がはっきり写っている
場所 公道、公園 自宅、病院、更衣室
写り方 背景として偶然 その人を狙って撮っている
内容 日常の様子 不名誉、私生活に踏み込む
公開範囲 限られた相手 誰でも見られる
目的 報道、記録 商用、揶揄

ひとつで決まるものではなく、組み合わせで評価されます。「公道だから自由」でも「人が写っているから駄目」でもありません。

写り込みそのものは即座に違法ではない

街を撮れば人は写ります。それをすべて禁じると撮影自体が成り立たないため、背景として偶然写り込んだだけの状態は、一般に問題になりにくいとされています。

ただし、SNSでの公開には固有の事情があります。

同じ映像でも、身内に見せるのと世界に公開するのでは重みが違います

店内・施設・イベント

公道以外では、権利の話とは別にその場所の管理者が定めたルールがあります。

これは肖像権とは別の問題です。撮影が禁止されている場所で撮れば、写っている人の有無に関わらず、施設との関係で問題になります。撮る前に掲示や案内を確認してください

迷ったときの判断

実務としては、次の順で考えるのが現実的です。

  1. その人が写っている必要があるか — 無いなら、写っていない素材を使う
  2. 撮り直せるか — 撮り直しの費用が低いなら、それが一番確実
  3. 隠せるか — 顔にモザイクをかける
  4. その場面を切れるか — 短い写り込みなら、これで済むことが多い

隠すかどうか迷った時点で、隠す側に倒すのが安全です。判断に使った時間より、隠す作業の方が短いことがほとんどです。

隠し方

忍者モザイクでは、を選ぶだけで動画全体を通して追いかけて隠します。位置を手で指定する必要はありません。

通行人のように小さく写っている顔は、「対象の形に沿う」を使わず四角のまま隠す方が確実な場合があります。小さい対象ほど輪郭を取り損ねやすく、外れると露出になるためです。

顔以外にも特定につながるものがあります。服装、持ち物、車のナンバー、背景の店舗。顔だけ隠して安心しないでください。この点は動画の顔にモザイクをかける背景の映り込みから場所が分かるにまとめています。

公開前に

自動検出は完璧ではありません。人が多い場面では、一部の顔だけ検出されないことがあります

隠し漏れを減らす手順は公開前に隠し漏れを見つける手順をご覧ください。