自動でモザイクをかけたのに、一瞬だけ外れる。あるいは、ちらついて見える。動きの速い場面で起こりやすい現象です。原因はAIの「見落とし」だけではありません。
動画は1コマずつ見ているわけではない
動画は1秒あたり30コマ前後の静止画の連なりです。すべてのコマでAIに検出をさせると、5分の動画なら9,000回の検出になります。時間がかかりすぎるため、多くの処理では数コマに1回だけ検出し、間は位置を推定して埋めます。
推定の方法は、前後の検出結果をつないで、その間を滑らかに補うというものです。被写体がまっすぐ一定の速さで動いているなら、これでほぼ正確に埋まります。
速く動くと推定がずれる
問題は、被写体が急に向きを変えたり、加速したときです。
検出したコマ同士を直線で結ぶので、その間で曲がった動きは追えません。実際の位置と推定した位置がずれ、ずれた場所にモザイクが乗ります。結果として、隠すべき場所が一瞬だけ露出します。
同じ理由で、次のような場面も苦手です。
| 場面 | 何が起きるか |
|---|---|
| 急な方向転換 | 推定した位置が実際とずれる |
| 手前を何かが横切る | 対象が一時的に隠れて検出が途切れる |
| 対象が画面の端に出入りする | 一部しか映らず検出しにくい |
| 照明が急に変わる | 見え方が変わって検出しにくい |
| 手ブレの大きい映像 | コマごとに位置が大きく動く |
ちらつきと露出は別のもの
似て見えますが、原因が違います。
- ちらつき — モザイクの形や大きさがコマごとに変わる。隠れてはいる
- 露出 — 一瞬だけモザイクが外れて中身が見える
ちらつきは見た目の問題ですが、露出は目的そのものが達成できていない状態です。確認するときは、この2つを分けて見てください。
減らすための設定
無修正安全度を「高め」にする
検出の判断を甘くして、疑わしいものも拾うようになります。隠し漏れは減り、そのかわり本来不要な場所まで隠れることが増えます。動きの速い素材では、こちらを選ぶ価値があります。
強さを上げる
強いモザイクはタイルが粗く、覆う範囲の見た目も大きくなります。多少位置がずれても、ずれを吸収できる余裕が生まれます。
強さの違いは動画モザイクの強さはどれを選ぶ?にまとめています。
スタンプを使う
スタンプは対象を画像で覆う方式です。覆う範囲が明確なので、境目から漏れにくいという性質があります。見た目が変わってもよい場面では有力です。
3種類の違いはピクセレート・ぼかし・スタンプの違いと使い分けで説明しています。
撮る側でできること
素材の段階で減らせる部分もあります。
- 三脚や手ブレ補正を使い、カメラ側の動きを減らす
- 隠したいものが画面の端で切れる構図を避ける
- 照明を一定に保つ
- 急に寄る、急に振る、といったカメラワークを控える
AIが追いやすい映像は、人間が見ても追いやすい映像です。
確認は必ず通しで
設定を変えても、隠し漏れがゼロになるわけではありません。公開する前に、通しで再生して確認してください。特に、上の表に挙げた場面は重点的に見る価値があります。
見落としを減らす手順は公開前に隠し漏れを見つける手順にまとめています。
隠し漏れを見つけたら、安全度を上げてもう一度変換するか、その場面だけ別の方法で隠す、という進め方になります。
性器を隠す場合は、動きの速さ以外にも外れやすい場面があります。性器のモザイクが外れるのはどんな場面かをご覧ください。
忍者モザイク